コミュニケーション能力の高め方 理解力-3.本能の考えを理解する


本能は受動的に反応し、コントロールすることができない

 

人には3つの「考え」があるとお伝えしてきて、今回が最後の3つ目である。

「本能」はその言葉が指し示す言葉の意味通り、人間としてというより、生き物として生きるために

必要な「思考」として存在する。

本能の特長は「機械的・受動的に反応する」という点である。

特定の状況になると、特定の本能が発現し、これを押し留めることは難しい。

当然、理性で止めようとすることも多いが、最終的に本能に逆らうことはまずできない。

理由は簡単である。本能は生存のための機能なので、本能に逆らうと死んでしまうからである。

例えば「お腹が空いたから何か食べたい」という本能が働いたとする。これは血糖値が下がると自動的にそう感じるように人間の体ができているのだ。

睡眠だろうが、性欲だろうが、特定の条件下におかれれば自動的に欲求が発生する。

当然、個体差はあるので程度の差や反応の差はあるが、一定の刺激があれば欲求が発生するという点については同じである。

当たり前のことだが、これに逆らい続けると死んでしまう。本能はそういった事態をさけるために「逆らい続けることができない」という性質をもつ

本能は人間の「考え」の中で最も強い。

本能は感性と同じく、通常、隠されている。が、人間の意思決定に一番影響度が高い。

本能が強く働いているタイミングでは理性や感性は出る幕がない。

例えば疲れている時に活動的な提案をしてもまず断られる。高ストレス状態にあるときに、複雑な意思決定をしてもらおうとしても却下される。

理由はない。単に「嫌だからダメ」なのである。この状態の相手に結論を変えてもらうことは相当に難しい。だから、話をする際は相手の状態を見極める必要がある。

 

本能の発動は感性などと違い、わかりやすい。

イライラしている。眠そうだ。お腹が空いている。疲れている。興奮している。

など、「見ればわかる」「聞けばわかる」レベルのものがほとんどである。

大事なことは本能が強く働いている状態かどうかを常に意識することだ。本能の強く働いているかどうかは大概見ればわかる。当然、「お腹が空いている」時に食事に誘えば成功確率は高くなるといったように本能の発動を利用してうまくコミュニケーションをとることもできる。

前回、前々回とお伝えしてきたとおり、人にはそれぞれ矛盾する「考え」をもつことが往々にして有り、理性は言語、感性はしぐさなど身体の一部、本能は全身に現れやすい。表面的な言葉に惑わされずに相手の「考え」を深く理解できるようになることがコミュニケーション能力上達の第一歩である。正確な理解がなければ「何を伝えるべきか?(=判断力)」も「どう伝えるべきか(=表現力)」も決めることができない。一朝一夕では身につかない能力だが、その見返りは大きいと思う。