将来を考えることから逃げたかった。逃げの留学で見えたものとは?


執筆者:三浦香凜

今回インタビューしたのは、執筆者である私と同じ高校に通っていた谷口朱里さん。

高校の時、彼女の持つ空気感に引き込まれるように多くの人を惹きつけていました。魅力に溢れる谷口さんはどのような人であるのか気になり、取材をお願いしました。驚いたのは、谷口さんは日本が嫌いだったということ。高校生の時のカナダ留学を経験した話、外に出ることでわかった日本の魅力、今の生活そして将来についてインタビューしました。

 

 

<プロフィール>

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谷口朱里(たにぐちしゅり)

獨協大学国際教養学部言語文化学科 大学一年生。

キリスト教学校である北陸学院に幼稚園から通い、自身もクリスチャンとなる。高校の時にカナダに留学をし、英語をマスター。現在はカナダに住むことを視野に入れ、世界で使用している人が多いスペイン語を勉強している。

 

キリスト教学校での生活を通し、ブレない軸をもらった。

キリスト教学校に通われていたそうですが、谷口さんにとって、高校はどんな場所でしたか?

私にとって高校は自分の指針、軸をもらった場所です。幼稚園からキリストの考えを持っている学校に通っているのですが、心が満たされていたなと思うし、その考えが自分の生きるベースになっています。「隣人を自分のように愛しなさい。」や「神様は超えられない試練は与えない。」という言葉が聖書にあるのですが、私はこの言葉がとても好きです。人を愛することは当たり前だけれど、そういった当たり前のことをイエス様は教えてくださり、自分を見つめ直すことができます。

 

高校の時、カナダに留学されていたのですよね。

はい。高校の時に短期、また長期でもカナダに留学しました。母の影響で前から洋楽を聴いていて、「英語=かっこいい」というイメージを持っていました。初めは何を言っているのかわからなかったのですが、だんだん理解したいと思うようになりました。その想いと、友達からの誘いもあり短期の留学を決意しました。その時は英語を理解するにはまだ十分ではなく、海外を楽しんだという感じでした。

 

短期の留学を経験して、英語力はどう変わりましたか?

英語の発音に自信がつきました。小さい頃、ECCという英会話スクールに通っていたこともあり、発音が上手だねと言われることが多かったです。短期の留学に行った後は、さらに発音が上手になったねと言われました。カタコトの英語が嫌だったので「どのように発音しているんだろう。」と思って、先生の口を凝視していました。そしてそれを真似していました。

 

口の形を真似する。私もすぐ実行させていただきます。長期の留学はどうして行こうと思ったのですか?

正直言うと、留学は「逃げ」だったんです。ちょうど文系や理系を決める時期で、周りが将来について決め始めていました。その時に私は将来のことを決められなくて、「一回、考えることから逃げたい。」と思ったんです。引っ越しが多かったので、新しい環境に行くことに抵抗はあまり持たないタイプでした。それで海外に行こう、留学しようって決めました。

 

カナダの人と比べない文化に自分の小ささを感じる。そこで強固なメンタルを身につける。

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逃げとはいえ、大きな決断をされたのですね。長期の留学はどうでしたか?

カナダで過ごした時間はとても濃いものでした。人生で初めて、深く悩みました。一番悩んだことは、人と比べてしまうということでした。日本では成績を比較するなど、人と比べて優劣をつける文化があると思います。その文化が染み付いてしまっていたのだと思います。カナダに留学している他の日本人を比べて、あの子の方が発音がいいとか、友達が多いとか、気にして悩みました。人と比べる必要はないのに。孤独を感じ、苦しかったことも覚えています。ホストファミリーはいるものの、一緒にいた家族が近くにいないことが本当に辛かったです。

ホストファミリーは、家族のように暖かく接してくれるイメージがあります。

もちろんホストファミリーはフレンドリーに接してくれます。でも、どこか家族とはちょっと違うなと思うんです。家に置いてあげている感じのような。私、ホストファミリーが3回変わったんですよ。中国人の留学生と共にホームステイすることを私が引越してから知り、驚いたこともありました。そのような予想しない、イレギュラーなことがたくさん起こるのが留学だと思います。

 

悩みはどのようにして乗り越えたのですか?

留学中、カナダの教会に行っていたのですが、途中から日系の教会に通い始めました。そこでマリさんという牧師さんに出会い、悩みを相談していました。マリさんは私を支えてくれた、カナダのママのような存在です。いつも優しく接してくださり、私の小さな疑問にも親切に答えてくださりました。私はむしゃくしゃした時に、マッキーを手に持ち、紙に殴り書きをするんです。「人と比べるな!」とか「マリさんを思いだせ!」って書くんです。

 

人との出会いは大きいですね。殴り書きはストレスの解消方法ですか?

そうですね。小さい紙に殴り書きをすることはいいストレス解消法だと思います。書いた後、見る回数が多い場所、例えばトイレなどに貼って、気を引き締めています。書いたむしゃくしゃが、解決したり、達成したら破っています。カナダにいる時は、日記にも書いていました。嬉しかったことや、むしゃくしゃすること、悔しかったことなどを書くんです。次はこうしてやるぞ!って。人に言えないことや、孤独を感じた時に書いていました。日本語で書いていたので、ホストファミリーにもバレないですしね。「これ何?」って聞かれたら、「何だろう、知らない。」とか言っていました。笑

 

言語の違いを上手く利用したのですね。留学で得たものはなんですか?

自分の殻を壊されたと思います。日本人の殼を破られたような感じです。留学する前は、人前で話すことも嫌でしたし。あと、日本人の当たり前が海外では当たり前じゃないことにも気づかされました。例えば、机には座っちゃいけないとか、授業中はご飯食べちゃいけないとか。カナダでは、先生が机に座ってましたからね。驚きました。私ずっと日本が嫌いだったんですよ。みんな同じが良いって文化が嫌だったし、日本語もダサいって思ってました。でも留学に行ったことで新しい視野を得ることができ、日本の良さに気がつくことができました。

 

細やかな動き、人への思いやりが日本文化の誇りである。

日本の良さはどのようなところだと思いますか?

ホストファミリーは日本を褒めてくれたんです。東日本大震災でご飯の支給があった時に、日本人はきちんと列を作って並んで配給を待っていることに対し、「相手のことも考えられる人たちなんだね。」と言われました。とても嬉しかったし、日本人で良かったと思いました。海外の人は自分が大事と考える人が多く、同じ状況ならば、群がり、暴動にもなりかねないそうです。

 

なるほど、言われないと気づかないことですね。

そうなんです。ホストファザーに茶道のことを質問されたことがあって、日本人は日本のことを知っててあたり前だと思っているのですよね。高校で茶道部に所属していたのですが、うまく答えられず、悔しい思いをしたことを覚えています。帰ってきてからは、茶道をもっと学びたい、教えられるようになりたいという思いが強くなりました。顧問の先生に、「スイッチ入ったね。」と驚かれるくらいに。歌舞伎のことを質問された時も、説明できず本当に悔しかったです。最近はそういった日本文化に意識的に触れています。

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海外についてはどう思いますか?

海外は文化の違いを感じました。日本では怒られるけれど、授業中にケータイ触っても、ご飯を食べても、カナダでは怒られません。そういう意味では日本は授業を強制している感じですが、海外は授業を強制していないのだと思いました。中学から自分の学びたい授業を選択しているからってこともあるのかもしれませんが、今やらなきゃいけないことが何かわかっている感じ。授業中にケータイを触っている人はほとんどおらず、将来を見据えている感じがしました。とてもかっこいいと思いました。

 

海外での経験から、様々な考えが生まれそうですね。東京での生活はどうですか?

そうですね、とても楽しいです。いろんな地方の人と出会うことができるし、方言トークとかとても面白いです。あと、流行のものにすぐ乗れることがいいですね。舞台とかもすぐに行けますし。でも都会はなんだか地に足ついていない感じもします。何かしないとっていう焦燥感というか。私は石川出身なのですが、昔は田舎がとても嫌いで、早く東京に行きたいってばかり思っていました。それは安易な考えであったなと今では思います。

 

どんな試練にも臆さない誰にも負けないかっこいい女性に。

谷口さんは将来はどうしたいと考えていますか?

弱い立場の人や、差別を受けているような人の力になりたいと考えています。私はいじめが本当に嫌いなんです。中学生の時に、一人いじめっこがいて、ある子のことを無視しろって皆に伝えたんです。私はどうして無視しなきゃいけないのか理解できなくて、そのある子とずっと話していました。そのうち、私の仲良い子も一緒に話すようになって、その空気が全体に広まって、いじめがなくなったんです。そのようにして、皆を同等に愛し、接することを自分の柱として行きたいと思っています。

 

素晴らしいです。なりたい女性像はありますか?

「女性はしとやかに生きなさい。」とか、「料理ができないといけません。」とかいう考えが嫌いで、しとやかに生きるよりも、バリバリ働きたいと思っています。私は誰にも負けない強い女性になりたいです。家族には自分の弱みも見せつつ、パートナーと協力して互いに支えあって生きていけたらと思っています。 どんな試練にも臆さない、立ち向かっていけるような、かっこいい人になりたいです。そんな自分をみて、勇気を持ってくれたり、頑張ろうって思える影響を周りに与えたいです。

 

谷口さんをインタビューして

インタビューしていて感じたことは、やはりオーラがあるなと思ったことでした。話し方から溢れる谷口さんの空気感に惹きつけられるばかりでした。人に流されず、自分の人生を歩み、全ての人を愛せる谷口さんは本当にすごいと思いました。見習いたい点がたくさんあり、また私自身の心が小さく感じ、考えさせられるインタビューでした。とても楽しいインタビューで、将来たくさんの人に希望を与える人になるだろうと感じました。谷口さんの目指す、かっこいい素敵な女性になることを祈っています。

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